或る雨の日の午後



 いつまでも降り続く雨…気だるい初夏の午後。
私は思い立って、鍵の掛かったクローゼットに手を延ばした。
このアルバムを開くのは、二年振り…になるのかな。
少しためらったけれど、ゆっくりとページを開く。
あの人に向かって幸せそうに微笑む私がそこにはいた…。
時間旅行…吸い込まれそうな向日葵…不思議な気分。
懐かしいあの人の笑顔。ベンチで寝てしまった姿が可愛らしい。
…声を出して笑ってしまった事に少し戸惑った。

 未来にも…想い出の中にも生きられない私は人形だった。
でも少しずつ…少しずつ何かが変わり始めている。

ふと、あの人が言った言葉を思い出した…。



 ねえ真奈美…。もし…もしもだよ?僕が君の側にいられなくなったら…。
え?
君の事を守ってあげられなくなったら…。
………。
…遠くへ…ずっと遠くへ行ってしまったら…。
イヤッ!聞きたくないです…そんな話…。
でも真奈美…僕は時々考えるんだ。もし、僕がいなくても
君は一人で…その足でしっかりと歩いてゆくことができるかな…?
君は夢を…真奈美の大切な夢を失くさないでいられるかな…?

夢…私の夢…。
 いいかい?これだけは忘れないで!
君の夢を叶える事ができるのは…君だけなんだ!僕じゃない…。
でも安心して!何処にいても君の事を見ているから…想っているから!
…僕にできる事はそれだけなんだ。




 テラスの窓から光が差し込んでいる。雨は上がったようだ。
露に濡れた鮮やかな草木の緑が目に眩しい。
僅かな微熱…けれど私は海へと続く道を歩き出した。
雫がせわしく地面を鳴らす音、遠くで子供達のはしゃぐ声が聞こえる。
心なしか体も軽い。この感覚、もう長いこと忘れていた気がする。
目の前に広がる世界、二度と無いこの時刻を、心で感じたままに書き綴ろう。
私が今この瞬間生きている事を、確かなものにする為に…。






続く












〜 筆者あとがき 〜
こんにちは、メビウスです。私がこのお話を考えたのは…
真奈美は主人公と出逢った事で、何も変わらなかったのかな?
いつまでも、誰かが手を差し伸べてくれるのを待っているような
弱い子なのかな?…と思ったのがきっかけでした。
う〜ん…皆さんはどう思いますか?




〜今日のお話〜

 今日は、いつもうちに遊びに来てくださっているメビウスさんより、真奈美の心にぐっとくる物語を頂きました。
センチ2のドラマCDでは悲嘆にくれていた真奈美でしたが、今日の真奈美はちゃんと前を向いて歩いていますね。
私は、センチ2の真奈美より、メビウスさんのところの真奈美が好きです。
やっぱり、誰しも、悲しんでいるん真奈美は見たくないですからね。
ええ、そうですよ。前を向いてい歩いていれば、いつかきっといいことがありますよ。
 明日に向かって歩くんだよ。真奈美。




(2000/06/20)




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