Wedding Dress 〜シアワセのおすそわけ2〜
| 女の子なら、一度は夢見るヴァージンロード。今、私はその上に立っている。 純白のウェディングドレスに身を包み、隣りを歩くのは、私の愛する人。 身体中が緊張と胸の高鳴りで熱くなっていく。 ……って、これが現実だったらいいんだけど……。 「Wedding Dress〜シアワセのおすそわけ2〜」 ことの始まりは、2週間前にさかのぼる。 夕食を食べ終え、談笑している時に電話が鳴る。 「はい……ええ、……それじゃ……はい、失礼します。」 神妙な面持ちで、電話に応対する彼。 私もその空気に、少し不安になる。 電話を終えた彼が、リビングへ戻ってくる。 「……どうしたの?」 「ん?ああ……実はね……。」 そう言うと、彼はすこーしだけ口元が緩んだ。 「……夏穂にモデルを頼みたいんだ……。」 「……へ?」 モデル?私が? 「えーーーーーーーーーーー!?」 「…そんな驚かなくても……。」 「モデルってなんの!?」 私は、半パニック状態で、彼に聞き寄った。 話によると、彼のバイト先のホテル主催で、ブライダルイベントがあるらしく、 その中で、模擬結婚式の発表があるのだけど、それのモデルが足りないという。 そこで私達に白羽の矢が立ったというわけで……。 「でも、何で私なの?」 と聞くと 「なんか、支配人がいたく夏穂のこと気に入っているんだよ……。」 とのこと。 でも、私は彼のバイト先にはあまり行ったことがないのに……。 ともあれ、その話を断る理由はないので、私はやることにした。 そして2週間後の今日、彼と共にバイト先のホテルに向かう。 「前に一度来たことあるけど……すっごいよね……。」 彼の勤めているホテルは、いわゆる5ツ星ホテルと言うやつで、 とても落ち着いた雰囲気の内装になっていた。 やはり、滞在する人はそれなりの身分の人で、一泊何万円もするという。 私達には到底無縁な世界なわけなのである……。 「おぉ、待っていたよ。」 声と共に、向こうから一人の男性がやってくる。 「あ、支配人。おはようございます。」 「おはよう、……こちらが森井さん…かな?」 「はいっ!森井夏穂です、今日はよろしくお願います。」 「はい、こちらこそ宜しくお願いします。」 支配人はにっこりと微笑み、会釈をした。 私もつられて微笑む。 物腰が柔らかく、とても人当たりのいいひとなのだろう。 一つ一つの仕草から、優しい雰囲気がとてもにじみ出ていた。 「……さて、そんじゃ夏穂は向こうの部屋に行って。」 「え?あなたは?」 「僕が向こう行っても仕方ないでしょう、だって向こうは花嫁側だもん。」 「あ、そっか。」 確かに、彼が花嫁で私が花婿だったら、シャレにならないわね。 部屋に入ると、スタイリストさんたちが待機していた。 まずはドレス選び。 ひとつにドレスと言っても、いろんな種類があってとても迷った。 どれも素敵で決められず、結局スタイリストさんに決めてもらった。 オフショルダーのドレスに、コサージュとヴェールのシンプルなやつに決まった。 ドレスのサイズを直しているあいだに、ヘアメイクを済ませる。 メイクが終わった後、鏡の中の私を見て思わず「私じゃなーい!」と叫んでしまっ た。 ……はずかしい……。 それからドレスに着替え、細かいところを直す。 「夏穂ー、入るよー。」 「どーぞ。」 しばらくして、ドレスを身に纏い、メイクを済ませた私を彼が訪ねてきた。 「……どうかな?」 と、彼を見ると、おもいっきり私に見とれていた。 「……夏穂?」 「私以外に誰がいるのよ?」 「ごめん、いや……すっごく綺麗で……。」 「ふふ、ありがと。」 そんな彼も、紺のタキシードを着ていた。 「……でも、あなたは似合わないね。」 「夏穂ぉ〜」 「う・そ、似合ってるよ。」 「うー……。」 彼は少し拗ねていた。……ちょっと言い過ぎたかな? 「ほらっ!いこ!」 そう言って、彼の腕に抱きついた。 彼は突然で驚いていたけど、すぐに私をエスコートしてくれた。 「模擬なのに……緊張するね。」 「僕だって……。」 私達はチャペルの扉の前に立っていた。 「本番だったら、もっと緊張するのかな?」 「たぶん……。」 互いにぼそぼそと話す。 扉の向こうには、これから結婚を考えている「立席者」の人たちが大勢いる。 そして、扉は開かれた。 大勢の拍手と感嘆の声に、出迎えられる。 私達はゆっくりとヴァージンロードを歩く。 暖かい祝福を送ってくれる大勢の「立席者」の人々。 そして、隣りを歩く彼。 私だったら、これだけで十分シアワセだよっ! |
〜榊 晶さんあとがき
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| と、いうわけで、ウェディングドレス夏穂です。 ちなみに、これはあくまで「模擬結婚式」です。(笑) ところでセンチの主人公くんの本当の結婚式だったら、 立席者には他の11人もいるんでしょうか?(笑) その辺書いてみたいなぁ……。(爆) それでは! 榊 晶拝 |
| 世間では「結婚前にウェディングドレスを着ると、嫁に行けなくなる」と申しますが、 夏穂はどうなんでしょうね。 ですけど、もう、ちゃんと貰ってくれる人がいるみたいですから、心配ご無用ですか。 お幸せに〜。 |
