
〜 デイジーの咲く丘 〜
| サンダース軍曹 | アメリカ陸軍・ホワイトルーク小隊の軍曹。 第二次世界大戦・フランス西部戦線にて、ドイツ軍相手に数々の激戦をくぐり抜けてきた、歴戦の兵士である。 だが、その功績とは裏腹に直情的で、ときおり上司に対する反感を口にするなどの言動が問題となり、 今でも軍曹止まりである。 |
| ケーリー | サンダースの部下。クールなナイスガイ。タバコが大好き。ハンサムで、部隊で一番女にモテる。 |
| リトル・ジョン | サンダースの部下。新しい町に着く度に綺麗な女性にモーションをかけるが、いつもフラれてばかり。 |
| カービー | 同じくサンダースの部下。軽口が大好きで、いつも変なジョークを言って部隊を笑わせる。 |
| マナミー | フランス西部にある小さな村。ここでつつましく暮らしている少女。 村がドイツ軍による支配から解放され、心から喜んでいる。 |
| 1944年某月、フランス。 アメリカ軍とドイツ軍との戦いは一進一退のせめぎあいであったが、アメリカ軍はフランス・ノルマンディへの上陸作戦を決行、 上陸作戦を見事成功させ、遂にフランス解放への足がかりを得たのであった。 日々戦いに明け暮れるホワイトルーク小隊。今日もまたひとつ、小さな村をドイツ軍から解放したのだった。 |
| サンダース: | ふぅ、この村での戦闘も、やっと落ちついたようだな。カービーとケーリーは村の東を回って、 敵が残っていないかどうか確かめるんだ。リトルジョンは村の西だ。 周囲を調べて、敵が居なければ今日はこの村に泊まることにする。いいな! | |
| カービー: | おい、リトルジョンよ? あっちのパブに、おまえ好みの綺麗な赤毛の娘が居たぞ。後で行ってみようぜ! | |
| リトルジョン: | 本当かよ! さっさと見回りを終わらせて、早くそのパブに行こうぜ!戦闘の後のビールがこれまたうまいんだ! | |
| ケーリー: | お前ら、昨日は「女はやっぱり金髪に限るよな!」って言ってなかったか? | |
| カービー: | 昨日は昨日、今日は今日ですよ。 な、リトルジョンよ? | |
| リトルジョン: | そうだそうだ! それより早く行こうぜ! | |
| サンダース: | おいおい、ちゃんと見回りもするんだぞ!分かってるな! | |
| カービー: | わ、わかってますよ、軍曹。ちゃんと見回りをしてから行きますって。 | |
| サンダース: | よし、散開! | |
| 一同: | (タッタッタッタッ・・・。) | |
| サンダース: | ふぅ、やれやれ・・・。あいつらにも困ったものだな。 | |
| ???: | あ、あの、兵隊さん・・・。 | |
| サンダース: | ん、なんだ?娘か? 君はこの村の住人か? | |
| ???: | あ、はい、そうです。私はマナミーよ申します。 | |
| サンダース: | そうか。私はサンダース軍曹だ。サンダースでいい。 早速だがマナミー、今晩、われわれをこの村に泊めてくれはしないだろうか? ドイツ軍を追っているのはいいのだが、次の町までは随分距離もあるし、もう日も沈む。 今晩はできればこの村で泊まらせてくれるとありがたいのだが。 | |
| マナミー: | あ、はい! ドイツ軍から解放して下さったお礼です。今晩は是非、うちに泊まってください! 私の家族ともども、おもてなしさせていただきます♪ | |
| サンダース: | いや、別にそこまでしてくれなくてもいいんだ。我々は寝る場所さえ確保できれば・・・。 | |
| マナミー: | ダメです!! 村を救ってくれた兵隊さんたちです。今晩はうちで夕食を食べていってください。お願いします。 (ペコリ) | |
| サンダース: | そ、そうか・・・、そこまで言われては断るのもなんだな。 ううむ。 それでは、今晩世話になるが、良いかな? | |
| マナミー: | はい! 皆様ともども、精一杯おもてなしさせていただきますね。 | |
| サンダース: | だから、そこまでしてくれなくてもいいと・・・。 | |
| マナミー: | くすくす・・・。 | |
| サンダース: | そうだ、ところでちょっと聞きたいことがあるんだが、いいかな? | |
| マナミー: | ええ、いいですけど、なんでしょうか? | |
| サンダース: | 君とよく似た名前を、昔ジャパンに住んでいたときに聞いたことがある。あれは確か、マナミと言ったかな・・、 | |
| マナミー: | ええっ!サンダースさんはジャポンに行った事があるんですか!? 実は私、父方の祖母がジャポンの人だったんです。私の名前も祖母がつけてくれたんですよ。 たしか、「真実は美しい」とかいう意味なんだそうです。 | |
| サンダース: | そうか、実は、俺の母方の祖父がジャパンのトウキョウ・シティ生まれでな。 俺もガキの頃に、トウキョウ・シティに二年ほど住んでいたことがあったんだ。 あそこは本当にいいところだった。山や畑が綺麗でな・・・。 この戦争が終わったら、また祖父に会いに行ってみようと思ってるんだ。 | |
| マナミー: | はい! それは私もです。 おばあちゃんの住んでいた町がどんなところだったかこの目で確かめてみたいです! | |
| サンダース: | そうだな、それには先ず、この戦争を終わらせないとな。ジャパンに行くのはドイツを倒してからだ。 | |
| マナミー: | そうですね・・・。 でもサンダースさん、お体がなにより一番大切ですよ。ずっと元気でいてくださいね。 | |
| サンダース: | ああ、大丈夫だ。これでも体にだけは自信があるんだ。風邪もひかないし毎日元気だ。 本当に、俺は健康なのだけがとりえなんだ。もっとマシな取り柄は無いものだろうか? | |
| マナミー: | そんなことないですよ。健康なのだって充分、立派なとりえですよ。 | |
| サンダース: | 本当にそう思うか? | |
| マナミー: | はい♪ | |
| サンダース: | そうか、分かったよ。 これからも体に気をつけるようにするよ。 | |
| 二人 | ・・・・・・・・・・・・・。 | |
| マナミー: | あっ!そうでした、これを忘れてました!サンダースさん、これをどうぞ。 | |
| サンダース: | これは?花輪か? | |
| マナミー: | はい。私がデイジーの花で作った首飾りです。あそこの丘に、綺麗なデイジーの花がたくさん咲いているんですよ。 他にも、ひまわりやらユリやら。いろいろです。 今まではドイツ軍が怖くてあまり出かけられなかったんですけど、これからはいつでもあの丘に遊びに行くことができます。 それもこれも、サンダースさんたちのおかげです。本当に、ありがとうございました。 私にはこれくらいしかあげられるものが無いんですけど・・・、でも、これでも一生懸命作ったんですよ。 どうぞ、お受け取りになってくださいね♪ | |
| サンダース: | ありがとう。ありがたく受け取るよ。 | |
| マナミー: | あっ!ダメです!! | |
| サンダース: | なんだ? くれるんじゃなかったのか!? | |
| マナミー: | もう、だめですよサンダースさん。
こういうのは、プレゼントする人が、相手の首にかけてあげるものなんですよ。 ひょっとして、知らなかったんですか? | |
| サンダース: | あ、ああ・・・。もう長いこと軍に居たもんだからな。そういうのには疎いんだ。ははは・・・。 | |
| マナミー: | くすくす・・・。 さあ、頭を下げてくださいな。私がかけて差し上げますから♪ | |
| サンダース: | でも、ちょっと照れるな。 なあマナミー、戦争が終ったら、もう一度俺にこのデイジーの首飾りを作ってくれないか? | |
| マナミー: | はい♪ お待ちしてますよ、サンダースさん。
この酷い戦争が終ったら、いつでもこの村に来て下さいね。 サンダースさんの為に、もっともっと大きな首飾りを用意して待ってますから♪ さあ、もっと頭を下げてくださいな。軍曹って背が高いから、私が手を伸ばしても全然届かないんですよ。 | |
| サンダース: | おお、それは済まんな。 こうか? | |
| (その瞬間、突然何かに突き飛ばされたかのようにマナミーの体が宙を舞う。どさりと仰向けに倒れこむマナミー。 「タァーーーーーーン!!」 遅れて聞こえてくる銃声。サンダースには今、一体何が怒ったのかまるで分からなかった。 だが、彼女の胸に猛烈な勢いで広がりゆく赤い染みを見たサンダースは、彼女が何者かに狙撃されたと悟るのだった!) | ||
| サンダース: | なにっ・・・。マナミー? マナミー・・・、 一体どうしたんだ・・・。マナミーーー!! | |
| マナミー: | あっ、ああっ・・・。んんっ・・・。 | |
| サンダース: | ああマナミー、マナミー!しっかりするんだ! 今すぐ軍医を呼んでやるからなっ!衛生兵!衛生兵ッ!! | |
| ヘンリー: | 軍曹〜!! | |
| リトルジョン: | 軍曹ご無事ですか! 誰か撃たれたんじゃないんですか!? | |
| ケービー: | 敵は何処だ!? ドイツ軍の狙撃兵か? | |
| サンダース: | あの教会の塔のあたりから銃声がした!
ドイツ軍の狙撃兵だ! ヘンリーとリトルジョンは教会へ向かって奴を追うんだ! ケービーはすぐに衛生兵を!! 早く、早く行けっ!! | |
| 一同: | 了解!! (タッタッタッタッタッ・・・・!!!) | |
| サンダース: | マナミー!、しっかりするんだ! | |
| マナミー: | うっ、んっ・・。 はぁ、はぁ、、サンダースさん・・・ 私、私・・・。 | |
| サンダース: | もう大丈夫だ! 今、ケービーが衛生兵を呼びに行っている。すぐに軍医と衛生兵が駆けつけてくるからな、もう大丈夫、大丈夫だ! | |
| (だが、マナミーの胸を真紅に染めゆく染みとそれの広がる速さ。元々白魚のような色だった肌がみるみる白くなってゆき その体は徐々に冷たくなってゆく・・・。狙撃用ライフル銃で胸元を撃たれては助かろうはずも無い。 絶望的・・・。そんな言葉が頭をよぎる。マナミーの命がもうすぐ尽きるであろうことは、サンダースにも分かっていた。 分かってはいたが、その考えを無理やり頭から消し去るサンダースであった・・・。) | ||
| マナミー: | サンダースさん・・・、私、私はもう、死んでしまうのですか・・・。 | |
| サンダース: | い、いや、そんなことは無いぞ! ほら、見た目ほど悪くはない、そう。悪くないし、もうすぐ軍医も来るから大丈夫だ・・・。 | |
| マナミー: | くすっ、サンダースさんって・・、嘘をつくのが、下手、なんですね・・・。 | |
| サンダース:: | うっ、うむぅ・・・・・・・・・・・。 | |
| マナミー: | でも、私が撃たれたのが私で、、良かったです・・・。 | |
| サンダース: | 突然なにを言うんだ! | |
| マナミー: | だって、あの時、軍曹が頭を下げてくれなかったら・・・、軍曹が、撃たれていたんですよ・・? ・・・サンダースさんには、フランスをドイツ軍から取り戻して・・、けほけほっ・・・ この戦争を・・・、戦争を終らせるという大切な任務が・・・、あるじゃないですか・・・。 | |
| サンダース: | ああっ・・・、そうだ! 本当なら俺が、俺が撃たれる筈だったんだ! それなのに何故、何故戦闘とは何の関係も無いマナミーが! くそっ!! | |
| マナミー: | いいんですよ、サンダースさん・・・。フランスには、まだ、たくさんの町や村があります・・・。 フランスを、この美しいフランスを、ドイツ軍の手から守って・・・下さい・・・。 | |
| サンダース: | ああ分かった、守ってやる! ドイツ軍も蹴散らしてやる!
だから頑張るんだマナミー!! 早くケガを治して、 二人で一緒に丘に行こう! | |
| マナミー: | くすっ、サンダースさんは強いから、きっと、フランスを守れますよ・・・。 でも、ごめんなさい・・・。私はもう・・・。 | |
| サンダース: | 駄目じゃない、駄目なんかじゃない! 頑張るんだ! | |
| マナミー: | ・・・。んっ、んんっ・・・、 サンダースさん・・・。お願いが、あるんですけど・・・。 | |
| サンダース: | ああ、何だ。 何でもいい、きいてやるぞ。 | |
| マナミー: | 私が・・・、私が死んだら・・・。
あの丘の一番高いところに埋めて・・・、下さい・・・。 あそこは毎年、奇麗なデイジーやひまわりの花でいっぱいになるし・・・、木々には小鳥達も・・・。 お願い、します・・・・・・ | |
| サンダース: | 馬鹿なことを言うな! お前が死ぬ筈無いじゃないか!
ほら、もう軍医も来た! 戦争が終ったら、俺にでっかいデイジーの首飾りを作ってくれるんじゃなかったのか?約束しただろ! しっかりするんだ!! | |
| サンダース: | 衛生兵! こっちだ!遅いぞ! さぁ、はやく彼女を診てやるんだ! | |
| 衛生兵: | ・・・・・・・・・・ | |
| 衛生兵: | 軍曹・・・ その、、、とても申しにくいのですが・・・ ・・・・・・最後です。彼女の話を聞いてやってください・・・・・・ | |
| サンダース: | くっ・・・! マナミー・・・・・・ | |
| マナミー: | くすっ・・・。 今度生まれてくるときには、戦争の無い、平和な時代に、生まれたいですね・・・。 サンダースさん・・・、御武運を・・・。ときどきでいいですから私のこと・・・、思い出して下さいね・・・。 (ことり) | |
| サンダース: | えっ・・・! マナミー・・・? マナミー・・・、 目を開けてくれマナミー! | |
| マナミー: | ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 | |
| サンダース: | おおおぉぉっ! マナミーーーー!!! | |
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| (翌朝、丘の上にて小隊の皆が集まり、木切れで作った十字架を前にクロスをきる。 ホワイトルーク小隊はすぐにここを発たねばならない。非情にも、直ぐに次の村へ向かえとの命令が届いたのだ。 サンダースも、マナミーの墓の前で彼女の冥福を祈る。今度生まれてくるときには戦争など無い、 平和な世の中で幸せに暮らしてほしいと。) その時、神の奇跡か、サンダースには天使となったマナミーの姿が見えた!
マナミー:サンダース軍曹、私はさみしくなんかないですよ。だって、いつでもずっと貴方のことを見守っていられるんですもの。 貴方は強い人です。フランスを守り、早く戦争を終らせて、人々が安心して暮らせる世の中にして下さい。 私はずっと貴方を見守ってます。お元気で。 | ||
| サンダース: | マナミー・・・・・・・・・。 | |
| (ジープの後部座席で揺られながらサンダースは、マナミーが好きだったあの丘に目をよせる。 ふと一陣の風がくぐりぬけ、丘一面に咲くひまわりの花を揺らす。 サンダースには、それはまるでマナミーが手を振っているように見えた・・・。) | ||
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| Fin. |
| 男の子でしたらもうお分かりでしょうが、この話は勿論、アメリカの人気TVドラマシリーズ「COMBAT!」のお話です。 子供の頃の私はこのシリーズが大好きで、私の家にビデオが無かった頃にはそれはもう、目覚まし時計をセットして 夜中の午前二時頃にごそごそと起きだし、TVの前でこの番組が始まるのを楽しみにしていたものです。 さて、この「COMBAT!」を見たことのある方はご存知でしょうが、このTVドラマシリーズには大きく分けて 二つのパターンがありました。 ひとつは「主人公であるサンダース軍曹たちが大活躍!ドイツ兵を蹴散らすヒーロー英雄物語的な回」。 そしてもうひとつは「戦争のむなしさ、理不尽さを色濃く前面に押し出した回」、この二つのパターンです。 世間では前者のヒーロー物語的な回に人気が集まっているのですが、私はこれらの回の物語はさっぱり記憶になく、 戦争のむなしさを説いた回のことだけは良く覚えています。 勿論、私が好きなのも後者のそれです。 とある回での、戦争で娘夫婦に孫まで殺されたフランス人の老人が、娘夫婦達の思い出残る自宅に入ってこようとしたドイツ兵、 アメリカ兵問わずに銃で撃ち殺してゆく物語などはそれはもう、脳裏に焼き付いて離れません。 「COMBAT!」のメインストーリーは戦争のむなしさを説く回にあるといえるでしょう。 話は変わって戦争映画の話になりますが、戦争映画でも大きく分けるとこれら二つのパターンに分けることが出来ます。 昔は単純明快なヒーロー英雄物語ばかりだったのですが、最近は反戦スタンスの作品が多くなってまいりました。 たまにはこういった戦争映画も見てみませんか? |
