地図
| 少女は家についた後もしばらく自分の部屋にこもり、地図をながめていた。 見ているpageには日本が見開きで描かれている。 特に熱心に見ているわけでもないのだが、地図を見つめるその瞳には 何か特別な思いが込められていた。 「今はどこに住んでるのかなぁ・・・」 小さなつぶやきが唇からもれた。 それは今日の社会科の授業の時から始まっていた。 授業が地理の分野にはいるため、 彼女のカバンには真新しい地図帳が入っていた。 地図帳を開くと日本がpageいっぱいに描かれていた。 日本地図を見るのが初めててというわけではなかった。 しかしそのとき彼女の胸には強い思いがよみがえってきていた。 それは懐かしさ、後悔、そして特別な思いを寄せる人に、 会いたくても会えない強いせつなさだった。 彼女にはもう先生が進める授業は全く耳に入っていなかった。 彼女が今思うのは、一人の男性のことだった。 私を助けてくれたあの人。今は近くにいないけど 私にすてきな思い出をくれた。 忘れることのできない大切な思い出。 私はこの胸の思いを伝えることができなかった。 あの人は私の前からいなくなってしまうときにも、 私に不思議なものを残していってくれた。 うまく説明できないあの気持ち・・・ かなしくなかったわけじゃない。 けどそれ以上の何かが私の中で大きくなって・・・ あの丘で見送っていたときは もうなにも考えられなかった そして少女は地図を閉じた。 その瞳には新たな気持ちが鮮明に現れていた。 この気持ちは変わらない ううん、変えたくない そしていつか、あの人に伝えたい。 |
〜 Penpen2さんあとがき〜
| はじめてのSSでほのかについて書きました。 最初は普通に名前が出てくる予定だったのですが 書き終えてみると一つも出ていませんでした(^^; 読んでいただけましたらキツイのでもかまいませんので 感想お願いします。 |
| Penpen2さんのせつない小説、確かに預かりました。 ほのかに薫る、胸に秘めた淡い恋心を感じ取りました! でも、ほのかだと言われなかったらなかなかそうだとは分からないお話ですね。 私はいきなり本文を読み始めましたので、最初は真奈美の話だと 思ってしまいました。 わざとほのかの名と「助けてくれた」の一言を削除して、 誰だか分からなくするのも面白いかもしれませんよ。 さて、作中、ほのかは恋の思いに胸馳せておりますが、 私も中学生の頃、そんな時がありましたよ。 先生の授業など、一言も耳に入らないほど。 素敵な思い出です♪ |
