とある休日
「ほい、あがりっと、これでまた私の勝ちね!」 「・・・・・・うっそ・・・・・・」 僕の手元にあるのはフルハウスの手札。 負けるとは思っていなかった。 しかし、夏穂の手の中には4カードの手札があった。 これで、夏穂の5連勝だ。 「へっへー……それじゃ、今度の休みは買い物に付き合ってね♪」 セリフに「♪」までつけてるし……。 「はいはい、わかりました」 その言葉を聞き、嬉々としてリビングを出る夏穂。 その言葉を言い、鬱々として残った缶ビールを呷る僕。 これで、明日の予定は夏穂の買い物に付き合わされることに決まった。 …………はぁ。 〜シアワセのおすそわけ番外編〜 「おっはよー!」 陽気な声の夏穂が、僕を起こしにきた。 時計を見ると、まだ9時半だった。 「・・・・・・もう少し寝かせてよ〜」 すると夏穂さんは 「だぁめ、今日は買い物にいくんだも〜ん」 との給う始末。 「こんな時間に起きても、お店はあいてないの」 「準備していれば、あっという間だよ」 「じゃ、あと10分ね」 さ、あと10分布団にくるませてください。 「……ふん、それじゃ……」 ようやく10分眠らせてくれると思い、布団にくるまると がばっ!! 突然、くるまっていたはずの掛けぶとんが、きれいさっぱり無くなり、 暖かい寝床にいた僕は、一瞬にして外気に曝されて眠気なんてすっ飛んでしまった。 「はい、布団がなくなったところで、起きた起きた」 満面の笑みで夏穂はそういった。 くそぅ……。 仕方なくベッドから降りて、大きく伸びをする。 カーテンと窓は既に開け放たれ、柔らかい日差しと優しい風が入ってくる。 ……寝ていたら勿体無いって気になってきたぞ。 早速、シャツを脱い・・・・・・ 「・・・・・・あの・・・・・・夏穂さん?」 「な〜に?」 「着替えられないんすけど……」 「着替えればいいじゃない」 「いや、だから……」 そう、部屋の中にはまだ夏穂がいる。 「着替えられないから、部屋の外に出て」 「えー?」 「えーじゃなくて」 「むー……」 「ふくれてもダメ」 「くー……」 「寝るなー!!」 「冗談だよ」 ……どこかで見たことあるような展開をする夏穂の背中を押して、部屋の外へ出し た。 いつ夏穂に覗かれるやも知れないので、さっさと着替えを済ませ部屋を出る。 「それじゃ、いこうか」 ドアの横にもたれかかっていた夏穂に声をかけて、家を出た。 外に出て、柔らかい日差しと優しい風を身体一杯に受ける。 家でのんべんだらりとしているよりも、やっぱり外に出ているほうがいいな。 となりにいる夏穂は、楽しげな表情で歩いているしね。 道の途中にある小学校に、既に満開になっている桜がある。 春だな・・・・・・と思いながら、歩いていると 「そういえば、お花見してないね」 と、夏穂がまた気まぐれな意見をのたまってくる。 「予定変更、これからお花見よっ!」 ・・・・・・あーあ、また振り回されますよ、僕。 いつもの公園には、花見客とおぼしき集団が既に酒盛りの真っ最中で、僕たちはその 間を縫って歩く。 今年の桜は平年よりも2週間早く満開を迎えたとマスコミが報じていた。 「わぁ・・・・・・きれいだね・・・・・・」 「あぁ・・・・・・」 春の風に吹かれ、桜の花びらが舞い散る様は、言葉にならないほどだった。 「私は桜が好きなんだ」 桜の樹を見上げながら夏穂が言う。 「それに、私は桜の咲く季節に生まれたから、尚更かな?」 そう言ってにっこりと笑う。 ・・・・・・くそぅ・・・・・・可愛すぎるぞ。 「ほらっ、いくよ!」 「・・・・・・あ、ってどこに?」 「決まってるでしょ!おっかいもの〜」 「え!?花見は?」 「それは余興、これからがメインよ!!」 そう言って、僕の手を引っ張り満開の桜並木を走り出した。 |
〜 榊晶さんあとがき〜
| いつものようにのんびりとした空気が出せたなら合格かな? そんな感じで。 |
| 今日もまた、素敵なお話をありがとうございます! 今日のお話は、日常的な、とてもほのぼのとした話ですね。 春らしく爽やかです。 同棲しているひとの家って、こんな感じなんでしょうか? |
